開発の経緯
近年、建物等における大規模修繕工事では、今後も起こりうる大地震の対策として、耐震改修工事が大きな比重を占め、その需要も年々増加する傾向にあります。
これからの震災に備えた外壁タイル改修技術において最も重要なものは、外壁落下による人災事故を防止し、想定外の事態においても、「人の命を守る」安全性能です。
2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震で発生した甚大な被害の中には、建築物の外壁仕上げに対し、その耐震性や従来型の維持保全行為の信頼性が問われるような事故が多数発生しました。
[建築系行政機関]では、従来の外壁タイル改修工法について、「根本的な劣化修繕では無く、単なる外装の化粧直しになっている傾向が強く、工事の目的である強度や品質対策、そして騒音、振動、粉塵などの環境対策が取られていない」と問題視されており、これからの改修工事の方向性として「既存タイル面を撤去せずに性能及び美観を確保できる材料及び工法の開発が必要」と研究をまとめています。
弊社は、創業以来従来の外壁タイル改修工法の抱える課題 (施工品質、騒音、振動、粉塵等)の改善を目的に「クイック工法」から「ニュークイック工法」を開発し市場に提供してまいりましたが、さらに地震対策を取り入れた品質向上を図るべく、「お客様」及び「現場の声」を集めてまいりました。
今回、「地震に強い壁をつくる」をコンセプトに今後起こりうる大地震の対策として目には見えない建物構造体内部への確実な施工技術によって「安全・安心」を構築し強度、耐久性の向上に取り組んだ結果、独自の耐震性能を実現し、さらに環境配慮、エネルギー問題を直視した環境技術を取り入れ、公益社団法人ロングライフビル推進協会の優良補修・改修工法等評価事業(※)の最高評価「特に優れている」を取得した最新技術として「ハイブリッドクイック工法」を開発しました。
※BELCA[YR-0002] ニュークイック[HORICON]工法 | 評価結果:「優れている」 | 平成19年3月30日に取得 |
※BELCA[YR-0005] ハイブリッドクイック工法 | 評価結果:「優れている」 | 平成22年1月25日に取得 |
※BELCA[YR-0006] ハイブリッドクイック工法[NEW MODEL] | 評価結果:「特に優れている」 | 平成29年10月2日に取得 |
建築物のロングライフ化と震災に備えたこれからの外壁タイル改修技術
耐久性に優れたコンクリート構造物でも、工法選定の判断を間違える事で性能は著しく低下します。最新のハイブリッドクイック工法は、施工時においての躯体損傷を極限まで低減することが可能な建物に優しい外壁改修工法です。
さらに地震対策を取り入れ、現存する貴重な建築資産を人に「安全」で「安心」な施設として次の世代に残すことが、これからの外壁タイル改修技術における基本要件であり、それが弊社の使命と考え、維持保全過程において、本工法を通じて今後も建築物のロングライフ化に貢献します。
安定した施工品質を確保する施工体制
ハイブリッドクイック工法は、認定会員会社38社、登録準会員会社140社、のべ1088人(HQ工法技術資格取得者※)の施工体制で、全国都道府県の幅広いフィールドをカバーしています。
お客様に満足していただける安全で安心な確かな技術を現場に提供する目的として、弊社では「ハイブリッドクイック工法技術資格者認定制度」を制定し、認定会員会社および登録準会員会社が、体系的かつ詳細に当工法を理解できるよう、施工マニュアルや実機を使いながらの技能講習を行い、実施工現場においての安定した施工品質の確保に努めています。
ハイブリッドクイック工法の機材開発コンセプト
弊社は、開発メーカーとして、機材の操作性をシンプル化することにより、作業者が扱いやすい「特殊な技量を必要としない」機材開発を重要課題と考えました。現場施工での本工法における要求品質を最大限に発揮できるシステムを構築することで、現場作業者からも安定した施工品質が確保できるとして高い支持を頂いています。
■ハイブリッドクイック工法指定機材
1.MF-1ドリル[ハイブリッド仕様]:
ハンドスイッチを押すだけで高品質な穿孔が可能
2.ハイブリッドノズル:
注入ハンドルの操作のみで確実な樹脂注入
3.ハイブリッドピン:
回しながらのピンニング→【施工完了】